歯科保険治療に導入されている「広範囲顎骨支持型装置埋入手術」および「広範囲顎骨支持型補綴」は、腫瘍、外傷、骨髄炎や唇顎口蓋裂等の先天性疾患などに起因する顎口腔欠損患者の障害を改善し、患者のQOLを回復するためのインプラント治療です。ただし、これらの治療を実施するためにはクリアすべき施設基準があり、一般開業医にとってはあまり身近な内容ではないのかも知れません。しかし、広範囲な顎口腔系機能再建には歯科や医科の各専門医の連携が必須であり、患者のQOLへの要求が高まっている今日においては、よりスキルの高い開業医が治療チームへ参加する機会も増えてくるのかも知れません。本書が広範囲顎骨欠損をきたす患者の現状と、それらの患者に対してどのような方法で顎骨再建が行われているのかを知っていただくきっかけになれば幸いです。