咬合の本と聞くと、多くの咬合理論や咬合様式を思い浮かべ敬遠される先生もいらっしゃるかも知れません。また、それらの咬合理論や咬合様式は本来義歯を安定させ、噛めるようにするために試行錯誤されてきたものであるため、クラウンブリッジなどの補綴処置には適応しないと考えている先生もいることでしょう。しかし、実際に天然歯列であるのに噛めないと訴える患者さんや、クラウンブリッジやインプラントなどの補綴処置後に噛めなくなったと訴える患者さんも存在します。歯科治療の最大の目的は噛めない人を噛めるようにすることだと考えています。
本書では、健全な天然歯を有しているのに、あるいは補綴処置を行っているのに噛めないという原因は何かを探るための検査・診断のノウハウから、噛めるようにするための方法論に至るまで、膨大なエビデンスを紐解きながら現在の補綴臨床にどのように活かしていくのかを詳細に解説しています。