概要
インプラント治療をはじめ、歯科治療において適切な咬合を与えることは顎口腔系機能の長期維持に欠かせない。それでは、適切な咬合という定義は何なのだろうか。不正咬合や顎関節症という概念は、おそらく人にのみ存在し、他の動物には無縁である。咬合を理解するうえで重要なことは、人類の進化の過程や二足歩行を考えることである。
本書は、人類の発生から二足歩行、脳の発育などといった人類の進化の過程に伴う咬合の変化から生じてきた現代人の顎口腔系機能トラブルの原因を紐解いていく。さらに日本人のルーツを考えることによって骨格パターンと不正咬合を考え、咬合治療のあり方を再確認することにある。これにより、機械論的な咬合論から、人の発育と適応を考慮した生理学的な咬合論を確立し、インプラント治療を含む全人的な歯科医療を提案する。
内容
- 第1章 ヒトの進化と咬合
- Section 1 生命誕生から哺乳類へ
- Section 2 哺乳類から類人猿へ
- Section 3 類人猿から人類へ
- Section 4 脳の進化
- Section 5 脳の発達と人類の問題点
- Section 6 ストレスマネージメント
- Section 7 下顎偏位による身体の歪み
- Section 8 不正咬合の成立機序
- Section 9 中心位の定義、ナソロジーからシークンシャルガイダンスまで
- Section 10 生体の適応と代償を利用した咬合治療
- Section 11 咬合治療と全身疾患
- 第2章 生体を理解した歯科治療
- Section 1 狭窄骨の拡大
- Section 2 抜歯即時埋入
- Section 3 上顎の脆弱骨に対するソケットリフト
- Section 4 細菌学とIMPLA CARE
- Section 5 根管治療
- Section 6 CAD/CAM
- Section 7 咬合理論とインプラント治療
- Section 8 メインテナンス
- Section 9 全人的インプラント治療
- Anti-aging DentistryからRejuvenate Dentistryへ