86号の特集はインプラント補綴における短縮歯列の新しい概念です。
欧米人(Caucasoid)と比較して、日本人(Mongoloid)は頬骨弓が前方に発達し、咬筋の幅も広く、筋が前方に付着しています。このような比較解剖学的差異から、日本人は欧米人と比較して開口量が少なくなるようです。一方で咬筋が前方まで広がっているので、咀嚼運動においては短縮歯列が有効に機能すると考えられます。症例の選択は必要ですが、林揚春先生が考案した短縮歯列の新たな概念をインプラント治療の選択肢の一つに加えることで、より負担の少ない治療が患者さんに提供できるものと期待されます。