87号の特集テーマはインプランタイティス(Implantitis:インプラント周囲炎)です。
インプラント周囲炎を誘発する要因は多岐にわたり、インプラント周囲組織の環境や咬合、近年ではセメント固定の上部構造における残留セメントも大きなリスクファクターとされています。ただし、それら数ある要因と必ず関わり合ってくるのが、病原性が高い歯周病菌であるPorphyromonas gingivalis(Pg菌)です。実際に初期のBrånemarkシステムは、Pg菌などの歯周病菌が存在しない無歯顎の環境への応用であったため、インプラント周囲に角化粘膜は必要ないとされていましたが、当時はインプラント周囲炎が大きな問題になることはありませんでした。天然歯との共存が一般的となった現代のインプラント治療においては、Pg菌をどのようにコントロールしていくかが鍵になるようです。一般の医療で疾患や疾病の病原菌が特定されていれば、その菌を退治するための薬剤を使用するのは当然のことです。本特集では、Pg菌に効果がある新たな薬剤の積極的な活用法を含め、インプラント周囲炎への原因解明とその対処法を解説しています。