98号の特集は、「狭小な上顎前歯部歯槽堤に対する低侵襲・短期間攻略法」として中山隆司先生(大阪市)に抜歯後長期間が経過して唇側歯槽堤が萎縮した上顎前歯部に対する低侵襲で短期間のインプラント審美補綴治療法を示していただきました。
これまでのGBRやCTGありきのインプラント治療ではなく、インプラントの埋入ポジションとドリリングテクニック、歯肉縁下を含む補綴形態などを林揚春先生(東京都)が提唱する4Sコンセプトの原理原則に従って処置していくことで痛みや腫れもない低侵襲で短期間治療が可能になることが示されています。
唇側骨が萎縮した歯槽堤に対して、これまではGBRによってインプラントの唇側に骨を造ろうという考え方ですが、低侵襲・短期間攻略法ではインプラントの唇側に1mm以上の既存骨を残そうという考え方です。また一方で、本来抜歯前の段階で治療を複雑化させない配慮が必要であるという警鐘も鳴らしています。
抜歯してからインプラントの治療計画を立てるのではなく、抜歯する前に十分に精査して本当に抜歯なのか、あるいは唇側骨が保存できるRoot Membrane Techniqueが応用できるのかなどの判断をすることも重要です。特に唇側歯根片を残すRoot Membrane Technique はインプラント審美補綴のGame Changerとなりうる革新的なテクニックであり、その内容の詳細については弊社より書籍「Root Membrane Technique のすべて」として近日中にお届けできる予定ですのでご期待ください。